本書を読むまでの経緯
これまでの上司は、仕事の結果だけでなく如何に頑張ったかなど総合的に評価してくれる人が多かった。よって、安心してコミュニケーションできたし、多少無謀とも思える仕事にもチャレンジできた。しかし、今の上司は、ちょっとでもミスすると、それを口実に何かと評価を下げてくるため、余計なことはやめておこうと尻込みしてしまうし、そもそもお互いの信頼関係構築がなかなか難しい。そんななかで、これぞまさに自分のための本と思えるタイトルの本を見つけたので、早速読むことにした。
本書の構成と要点
本書の章の構成および要点は以下のとおりである(公式サイト)。
第1章:なぜ今、「評価される人になる技術」が必要なのか
- 現在は、複業(パラレルワーク)が徐々に当たり前になってきている。これからは、同時期に複数の会社の仕事をする時代に成功する鍵は、「評価される”人”になること」。すなわち、発注したいと思われる(期待評価)かどうか。
- 評価される人は、上司からの評価結果を自分の力で変えることができるととらえており、評価されない人は、いくら頑張っても評価結果に自分は影響力がないとあきらめている。どんな上司にでも評価されるようになると、独立したときどんな客がきても評価されやすくなる。
- 評価されるということを図で示すと以下のようになる。
Bを目指すと評価される(Cも重要)。AやDに陥っているのは、上司の説明不足と部下の確認不足が原因。つまり、仕事の出来が問題で評価されていないわけではなく、上司と部下の対話不足の問題と考えられる。自分の仕事をBの領域だけにすることが、評価される人になるということ。
部下が力をいれていないこと | 部下が力を入れていること | |
上司が評価すること (部下に期待すること) | 【A】努力不足 | 【B】相互満足 |
上司が評価しないこと (部下に期待しないこと) | 【C】不必要 | 【D】自己満足 |
- 人事評価が公平であるべきと考えていること自体が、仕事を認められない原因である。なぜなら、そこには「人事評価はデジタルに行える」、「評価のバラツキはなくせる」という思い込みが隠されているから。同じ部署でもいろいろな職種があり、同じ職種でもやっている仕事はまちまち。この状況で公平性を確保することは無理。また、公平性を求めすぎると、他社との比較をするようになり、そうすることで、上司や同僚から嫌われる(他者を蹴落とす思考法だから)。よって、やるべきは他人を蹴落とすことではなく、「自分の評価を上げる」ことに集中すること。
- 評価される人は「上司を客ととらえ、ボス満足度が最優先(BS)」と考えている。上司は自分の評価者であり、給与の決定権を持っている。BSを上げることにフォーカスするのは当然のこと。特に、BSが上がるポイントを理解することが重要。ボスによっては、結果だけ出せばOKの人もいれば、チームワークや雰囲気づくりを重要視する人、主体的に動いて少しくらいの失敗は多めに見る人、など様々で、仕事の結果だけで評価は決まるものではなく、結果以外の部分も評価に影響する。
- 評価される人は「アピールは最重要の仕事」と考えて仕事をしており、伝わるまでが仕事と考えている。通常の仕事は当然行ったうえで、アピール(自分なりにチャレンジしたことや、創意工夫したこと、会社・部署の今後の財産となる取り組みなど)までしている人が評価が高い。
第2章:評価される人は「上司こそが最重要顧客」と捉える
- 上司に好かれることはとても大切。なぜなら、人は好きな人を応援したくなるから。贔屓にされるということは応援されるということ。上司に応援されるために効果的なのは、上司を応援するということ(人は応援されると、お返しをしたくなる)。具体的な応援とは、「上司の目標達成を応援する」ことと、「上司のこだわりを尊重する」ということ。
- 上司のダメなところに腹を立てるのではなく、それらをリストアップし、それを上司の苦手分野と考え直すと許せるようになる。さらに、その苦手分野をサポートする。仕事のやりかたや考え方が上司と異なるのであれば、その行動自体が上司をサポートすることになる。
- 部下である自分が、上層部(直属の上司の上司、あるいは経営層)に、直属の上司を褒めてみる。後日、上層部から自分の上司が褒められると、上司は部下に対して感謝し信頼することになる。
第3章:評価する上司のホンネと接し方
- 上司の評価に納得がいかない場合、文句をいったり、泣き寝入りしたりするのではなく、上司の立場を踏まえて対話を行うことが大切。そこで、上司が自分に期待することを言葉にしてもらう。
第4章:評価される人だけが知っている「本当のアピール法」
- アピールとは、お互いのニーズを満たすために対話すること。特に、上司が求めている期待や要望に沿ったアピールをすることが大切。
- 評価面談では、2つのことが行える。1つ目は一人では気づけない支店を上司と話すことで気づくことができる。2つ目は上司に感謝をする。評価されていもいなくても、感謝している人ほど評価が高くなる傾向にある。「頑張ったが達成できなかった」というよりも「結果は出なかったが、〇〇さんのサポートのおかげでここまで頑張れた」という方が上司も嬉しい(目標達成のときは誰でも感謝するが、未達のときに言うからこそ響く)。
- 評価面談では、結果に至るプロセスに関して、「主体的な姿勢」(環境変化に対して主体的に動けた内容)と「未来に向けた発言」(プロセスから何を学んだか、次にどう生かすか)があることがポイント。結果が悪かったとしてもプロセスについて伝えることで、仕事への姿勢が伝わる。結果は環境要因に左右されるので、ほとんどの上司は仕事への姿勢を見ている。主体的なブレない仕事ぶりが上司として非常に頼もしく感じ、組織運営に欠かせない人材と感じられ、悪い評価を付けづらくなる。
- 評価面談で未達の場合、唯一できるのは「結果の解釈」を経営目線にすること。過去は変えれないため、「チャレンジングな内容であったが、クロスファンクションの業務を経験できた、英語を話す機会を増やせた」といったポジティブな表現にリフレーミングする。
- 日々の業務に精一杯になり、半年や1年間の目標に目を向けれない人が多い。上司としては、進捗が気になるため、頻繁に数字で進捗を共有することで上司に安心してもらう。さらに部署の目標についても考えたうえでの進捗であればさらに良い。定量目標でない目標の場合は、ガントチャートでキーとなる小目標やタスクが一つずつクリアされているのを見せるのがおすすめ。
第5章:自分のキャリアを豊かにする「じぶん評価基準」
- 会社員のメリットはお金・経験・人脈の3つ。特に経験について、お金をもらいながら失敗してもいい挑戦ができるのはとても恵まれている。セミナーなどで知識を得たら、仕事の中で試す機会を持てる。また人脈について、会社員であれば仕事を通して多くの人と知り合える。人脈づくりに必要なのは、仲良くなりたいという気持ち。自ら相手に少しだけ踏み込んでいくことが重要。
第6章:評価される人になるための「とっておきの習慣」
- 以下に示す時間管理のマトリクスで、プライオリティの習慣を身に着ける。第一領域は誰もがやるが、第二領域は自分自身をセルフマネジメントしないとできない。よって、成功者とそうでない人の差が生まれるのは第二領域。可能な限り第三・第四領域の業務を減らして、第一はもちろんのこと、第二領域にフォーカスする。
緊急度:高い | 緊急度:低い | |
重要度:高い | 第一領域:必須業務 | 第二領域:価値業務 |
重要度:低い | 第三領域:錯覚業務 | 第四領域:無駄業務 |
感想
現在アラフィフであるが、これまでの社会人人生では、どれだけ自分が方向違いの努力?をやってきたかが良く分かった(悲しいけど)。できれば20年以上前に出会いたかった本だが、幸か不幸か定年も延長されるだろうから今日出会ったことに感謝するしかない。まさに、全新入社員が読むべき良書であると思う。
書籍情報
書籍名:評価される人になる技術
著者:岡田洋介
出版社:ぱる出版
発行年月:2023年9月25日
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